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『最高の人生の見つけ方』映画感想!近場ばっかでしょぼない?

2019年10月11日公開映画『最高の人生の見つけ方』の感想記事。もう冒頭から結論を言うと違和感だらけの設定に意外とスケールの小さい「死ぬ前にしたいこと」の数々、今日も野暮にツッコミくります。ネタバレありです。

『最高の人生の見つけ方』作品情報

製作国日本
ジャンルヒューマンドラマ
日本公開日2019年10月11日
監督犬童一心

キャスト

  • 【北原幸枝】吉永小百合
  • 【剛田マ子】天海祐希
  • 【高田学】ムロツヨシ
  • 【北原美春・若き日の幸枝】満島ひかり
  • 【神崎真梨恵】鈴木梨央
  • 【北原一慶】駒木根隆介
  • 【三木輝男】賀来賢人

『最高の人生の見つけ方』あらすじ

家庭のために生きてきた幸枝と、会社のために生きてきたマ子。全く違う世界に暮らしてきた2人が偶然に出会い、自分たちの唯一の共通点は余命宣告を受けたことだと知る。主婦業と仕事以外に何もやりたいことのない人生の虚しさに気づいた幸枝とマ子は、たまたま手にした12歳の少女の「死ぬまでにやりたいことリスト」を実行するという無謀な旅に出る。

“スカイダイビングをする”“ももクロのライブに行く”“好きな人に告白する”──今までの自分なら絶対にやらないことに、自ら殻を破って飛び込む2人。初めて知った生きる喜びに輝く2人は、家族や周囲のものたち、さらには旅先で出会った人々も巻き込み、彼らの人生さえも変えていく──。

公式サイトより引用

『最高の人生の見つけ方』感想

全体の印象としては、泣かせにくる描写ばかりでその感動を煽るための障壁が少ない、と感じた。加えて違和感のラインを超えるような無理のある設定が多く、それがまた私を冷めさせる要因となった。総じて退屈だった。

旅って国内ばっかでしょぼない?

もちろん日本国内を旅すること自体がしょぼいと言いたいわけではない。
エジプトやスカイダイビングだとかまるで世界中の絶景を巡るかのような予告を見て観たいと思ったのに、意外と国内ばかりでめっちゃ近場かい!っていう肩透かしは正直あった。まあ勝手に私が期待を抱いていたわけだけど。
それでも死ぬ直前にこれだけは!何としても!成し遂げたいんじゃ!!っていうテンションでももクロのライブとか京都とか長崎とか流石にスケールが小さい気がしたのは否めない。もっとエアーズロックとかイースター島とかウユニ塩湖とかありとあらゆる秘境を見せてくれるのかと早合点した。あ、そういう映画じゃない?まあ勝手に私が期待を抱いていたわけだけど。

重病だった少女の設定

人生に絶望してタバコを吸おうとしていた少女が、最後には笑顔いっぱいの気さくでフレンドリーな少女に変貌している。人間、急にそんな180度変わわることがあるのか?と違和感を抱いた。ただ病気が全快したからなのか?
そもそも結局生きていたという設定の恩恵は何なのだろう?印象として死より生きていたの方が希望があって話としても明るくなるからということだけだろうか?
加えて、自分のバッグを無くしておいて何の気にもとめていないかのような振る舞いにも違和感を抱く。なんかややこしいので亡くなったことにしておいた方がむしろストーリー全体としてもスマートだろう。

ムロツヨシは良い

最近だと「ダンス・ウィズ・ミー」でも感じたが、ムロツヨシはいつもいい緩衝材として機能している。

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もし彼がいなくて主役の女性二人ばっかりだとどうにも重い過去や現状に鬱屈しすぎてぎこちのない絵になってしまうだろう。しかし彼の愛嬌あるキャラとファニーな描写によって適度に柔らかい印象をもたらしている。

副社長について

俳優あるあるだがわざとらしすぎる演技は私の没入感を阻害する。そんなあからさまに高慢で高飛車なやつおる?キャラの設定上仕方ないかもしれない。しかし、俳優の力量が問われるのは、そのような大袈裟に誇張されたキャラをいかにリアルに、そして面白く見せるかというのが大事。そういう意味では彼の演技は0点だった。わざとらしいキャラにまんまわざとらしい演技を正攻法でかぶせられても何にも面白みがない。

急に心を開く引きこもり息子

例え母親の病気や姉の妊娠を知ったからと言ってあっさりあの場で心を開く引きこもりがいるだろうか?確かに動揺して心動かされるかもしれない。しかし実際に顔を出して打ち解けるのはもっと時間が必要だと考えるのが一般的な傾向ではないだろうか?要するにあの息子のドラマの描き方はかなり雑なのだ。何歳なのか?どのくらいの期間引きこもっているのか?詳細な設定はほとんど明かされず、ただそれっぽい引きこもりとして適当に描かれている。サイドストーリー的な要素があるとはいえ、ただ感動を煽るための要素といった印象は拭えない。

より盛り上げるための提案

例えば「障壁」として「家族や会社をおざなりにして好き勝手散財をする常識のない女性二人」という点を強調して責めてくるようなキャラがいて周りの登場人物もそれに同調して皆が彼女らの敵になる。社長は有名人であるから世間にも叩かれたり追い詰められそうになる。副社長の増長っぷりだとか引きこもり息子のグレっぷりがエスカレートするなど観客に「このままじゃヤバイよ」って焦らせる要素を最大限引っ張り出す。
そこまで至って初めて重病であることが露呈、改めて二人の大切さや、時にはハメを外して羽を伸ばすことの大切さを問いかけるとか。

喫煙キャラは時代に合わない

タバコをどこでも吸いまくるキャラというのは時代にあってないなと思った。20年前であったなら何も違和感はない。もちろん彼女の豪快なキャラにも合うと思ったのだろう。だがしかし禁煙化の進む現代において、あれが例えばタスポであったなら「あ~今っぽいわ~今だとこういう人いるわー」という地味な共感を感じるだろう。地味だがこういう共感の積み重ねが観客の没入感を助けるであろうことは間違いない。まあタスポじゃ絵的にかっこがつかないというのはあるかもしれないが…。

違和感ラインを超える設定の数々

もともとできない逆上がりを大人になっていきなりできるということは極めて可能性が低い。何故なら体の質量がまるで違う子供と大人ではその容易さは大きく変わるからだ。

副社長が30億もの大金を使い込んでおいてそれを不問にする経営者とはいかがなものか。

フィクションとはいえ、心を通わせた親しい友人とはいえ、200億もの遺産相続人として赤の他人を選ぶ敏腕経営者。

まとめ

5点満点中3点:

とまあいつもの如く突っ込みまくってしまったけど見直すべきところを見直せば良作になりえる題材であることは確かだ。次に期待。

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