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【ネタバレ】映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』辛口で感想・分析

車で人を轢いてしまうイラスト

2019年5月10日公開『轢き逃げ 最高の最悪な日』を鑑賞。ネタバレ一部あり、感想記事を書いた。

『轢き逃げ 最高の最悪な日』作品情報

概要

『相棒』でお馴染み、名俳優、水谷豊が監督・脚本・出演。タイトルの通り「轢き逃げ」という重すぎるテーマをどのようなエンターテイメントに昇華しているのか。また、日本初の「ドルビーシネマ」対応作品(対応している日本の劇場は2019年5月現在で福岡県の「T・ジョイ博多」や埼玉県にある「MOVIXさいたま」など数箇所のみ)であることにも注目。

制作国
日本

ジャンル
ヒューマンドラマ、サスペンス

日本公開日
2019年5月10日

監督・脚本
水谷豊

キャスト

宗方秀一中山麻聖
森田 輝石田法嗣
白河早苗小林涼子
前田俊毎熊克哉
時山光央水谷豊
時山千鶴子檀ふみ
柳公三郎岸部一徳

主題歌

歌:手嶌 葵「こころをこめて」

あらすじ

映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』公式サイトより引用

 

眩しい光に包まれた初夏の朝、海の見える狭い坂道で、事件は起きた。

異国情緒漂う地方都市で、大手ゼネコン・城島建設に勤める若きエリート・宗方秀一(中山麻聖)はいつになく焦っていた。3日後に控えた結婚式の打ち合わせのため、城島建設副社長・白河の一人娘で、婚約者の早苗(小林涼子)がホテルで待っている。式の司会を務める、学生時代からの親友で同僚の森田輝(石田法嗣)を乗せて、不慣れな抜け道を加速していく秀一の車。路地裏にある喫茶スマイルの角を曲がった時、若い女性を撥ねてしまう!……「誰も見てない」。輝の囁きで、車を急発進させた秀一。その場から立ち去った二人は、早苗の元へ向かう。

打ち合わせを終えて帰宅した秀一と輝は、夕方のTVニュースで、轢き逃げした女性・時山望の死亡を知る。翌朝、怯えながら出社した二人には、反目する専務一派のいつもの嫌みに構う余裕もない。何者かからの脅迫を受けるも、秀一の結婚式は無事に終わる。

秀一が人生最高の日を迎えていた時、轢き逃げ事件で突然一人娘の望を失った、時山光央(水谷豊)・千鶴子(檀ふみ)夫妻は、最悪の日々を過ごしていた。“秀一と輝が逮捕された”という知らせを受けたところで、娘が帰ってくるわけではない。なんとか日常を取り戻そうと耐える両親は、望の遺品返却に訪れた二人組の刑事、柳公三郎(岸部一徳)と前田俊(毎熊克哉)から意外な質問を受ける。「遺品の中に携帯電話が見当たらなかったんですが……」。娘の部屋を探したが携帯は見つからず、引き出しにあった日記から、事件当日の望の行動が明らかに。微かな違和感を抱いた時山は、娘の仕事仲間や友人に会いに出かけていく。

自分の内に潜む衝動から魔的な行動に出てしまい、己の罪深さに苛まれる秀一。準抗告で釈放された輝に接触を試みた時山も、やりきれない思いが募るばかりだった。やがて新緑の美しい頃、複雑に絡み合う事件に巻き込まれてしまった人々は、予想だにしなかった真相に辿り着き、そして、それぞれの“これから”を見つけ出そうとする。

こっから感想だよ!と伝える画像

 

『轢き逃げ 最高の最悪な日』感想

「轢き逃げ」には深く切り込まない

「轢き逃げ」とは、そのような法律違反名が存在するわけではなく、正確にいうと道路交通法第72条の「救護義務違反」と「報告義務違反」にあたる。また、轢き逃げ事件の検挙率は、被害者が死亡に至った場合はほぼ100%であるものの、全体では約半数しか検挙できていない。

つまり被害者に重症を負わせながらも、のうのうと何の罰則受けずに娑婆を闊歩している胸糞な轢き逃げ犯も多いというわけだ。

参考:

ひき逃げ事件を起こしました。どういう罪になりますか?

ひき逃げの罪-必ず後日に検挙されて逮捕される?

ウチダは轢き逃げで重症を負ったことはないものの、狭い道で歩行中に車にぶつかられてそのまま走り去られたことはある。大した怪我ではなかったが、あの何もできない歯がゆさと怒りは経験している方ならわかるだろう。それが自分の身内で重症、或いは死亡にまで至ったらその感情は筆舌に尽くしがたい。

そのような一種の社会問題である「轢き逃げ事件」に深く切り込むリアルな人間模様を描いた映画なのかと期待してしまった

轢き逃げのイラスト

ところがタイトルになっているにも関わらず、「轢き逃げ」自体に関してはあまり掘り下げない。ざっくり言えば、サスペンス・ドラマの殺人パターンとして轢き逃げが採用されているに過ぎないと言える。言い換えると「轢き逃げ」であることの必要性をあまり感じない。この映画の主軸はあくまで事件に関するある謎を解くというサスペンスなのだ。よってウチダの期待は裏切られた。しかしそれならそれで、良質なサスペンスなら何も問題はない。冷めた真の要因は次の項にある。

 

ネタバレあり!のイラスト

 

”あいつ”のせいで全て滅茶苦茶(ネタバレ)

”あいつ”とは諸悪の根源とされたあいつである。結局”あいつ”をサイコパスみたいな設定にすることでもう何でもありになっている。そしてどうしても理解し難いことがいくつかある。

何故事件が起きると思えたのか

わざと遅刻し、カフェが休業日にも関わらず被害者を呼び出すという、それだけでは事故が起こると確信できるわけがない?むしろふつうは何も起きないだろう。それが何故に秀一を追い込むことができると考えたのか?よく解らない。(解る方教えてください・・・)

何故にスマホを盗めたのか

フラグがあったとはいえ、何故被害者の職場でスマホを奪えると考えたのか?置き忘れるとは限らないし他の従業員に見られるのがオチだろう。都合が良すぎる。

そもそも何故にスマホを奪おうと思ったのか

轢き逃げ事件が起こると確信していてそれに備えて奪ったというならわかるが、先述したようにかなり不確実性の高い計画だ。

つまりは”あいつ”は確信していたという設定なのだ。「轢き逃げ事件か若しくは何かしらの事件が起こることによって宗方を困らせることができる」この設定が前提じゃないと一連の行動の説明がつかない。さすがに無理がありすぎる。

最大の謎:何の罪なのか?

言うても罪らしい罪と言えばスマホ盗んだだけである。殺人幇助にもならない。何故に重罪で再逮捕なのか?

尋問するイラスト

皆さんはこの支離滅裂な”あいつ”の設定に納得がいっただろうか?ウチダは不自然かつ脚本の適当さを感じ、更にサイコパスのような狂ったキャラに仕立てることで誤魔化しているようにさえ感じた。さらに”あいつ”の異常さによって本来のテーマでもある「轢き逃げ」のリアルな加害者像がおざなりになっていると感じた。リアルな加害者像、つまり宗方の役割であるはずだが後半、一気に存在感がなくなる。これは何の物語なのか?意外性のあるサスペンスを見せたかったのか?つまり冷めてしまった理由をまとめるとこのようになる。

ガチで冷めた理由まとめ

「轢き逃げ事件」を深く掘り下げたリアルな人間ドラマが観たかった。サイコパスの都合のいい設定のせいでサスペンスとしても酷い内容だった。

 

終わりに

というわけでウチダ的には2019年、暫定ワースト一位。しかもぶっちぎり。ついでにもうひとつ苦言を申せば演技のわざとらしさが全体を通じてノイズとなった。

檀ふみ、岸部一徳らベテラン勢はさすがの安定感で唯一の救いに感じたが、石田法嗣、小林涼子など若手の演技が、過剰さと、わざとらしさと、うさんくささと(愛しさと切なさと心強さとのテンポで)が目について見るに堪えなかった。こればっかりは唯の主観ですが(いや全編主観だわ)、テレビの昼の二時間枠等で観た記憶のある、出来の悪いB級サスペンスという印象であった。

とはいえ、試写会を観た方々のレビューやTwitterの感想などを観てみると星が平均3/5だったりしてそこまで悪くはないようだ。水谷豊作品ファンや興味ある方は映画館に足を運んでみるのもいいだろう。結局のところ人の好みに依る部分もあるだろう。ウチダ的にはおすすめできないけど…

 

 

 

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