映画『アラジン』実写版(2019)の感想とアニメ版(1992)との比較・違いを書いてみた。
ネタバレありでおおまかなストーリーも全編書いている。
アニメ版に準拠しつつも、実写版独自のアレンジがあった点について深く掘り下げていきたいと思う。
まずは映画の基本情報から述べて行きたいと思うが、すぐに「感想・アニメ版との違い」が読みたい方は以下のリンクからどうぞ。
また、アニメ版の感想記事もよかったら読んでみてください。
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『アラジン』作品情報
製作国 | アメリカ |
ジャンル | ファンタジー、冒険 |
日本公開日 | 2019年6月7日 |
監督 | ガイ・リッチー |
キャスト | メナ・マスード(中村倫也) |
どの動画配信サービスで観られる?
『アラジン』実写版を視聴できる主な動画配信サービスは以下。
U-NEXT | 440円 |
Hulu | ☓ |
Netflix | ☓ |
dTV | 400円 |
Amazonプライムビデオ | 400円 |
dアニメストア | ☓ |
FODプレミアム | ☓ |
あとはU-NEXT、dTV、Amazonプライムビデオで有料レンタル作品となっている。
ちなみに、アニメ版の配信状況もほぼ同じ。
各動画配信サービスの比較や、詳しい説明に関しては以下の記事を参考にしてほしい。
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『アラジン』登場人物
アラジン(メナ・マスード)
アグラバー城下町で暮らす貧しい青年。相棒の猿・アブーと共に盗みを働きながらその日暮らしの生活を送る。
配役の印象
メナ・マスードはアニメ版のアラジンと目の堀の部分がふと似ている瞬間がある。イメージは大方あっているかと。アブーはちょっとリアルすぎて不気味かも。
ジャスミン(ナオミ・スコット)
アグラバーの王女。法により、王の選ぶ相手としか結婚できないという現状にうんざりしている。アグラバーを愛し、アグラバーの為に自身がリーダーとなって王国に尽くしたいと考えている。
配役の印象
ナオミ・スコットは美女すぎて神秘を感じるレベルだ。ウリである歌唱力も半端ない。正にリアルジャスミン。
ジーニー(ウィル・スミス)
魔法のランプの精。ランプを手にし、自分を呼び出した者を主人とし、みっつの願いを叶えてやらねばならない。人間になり、自由の身になることを夢見るが、主人が願いを言わない限り、それは叶わない。
配役の印象
この映画の見所はなんといってもジーニー、即ちウィル・スミス。アニメ版ジーニーの滅茶苦茶な暴れっぷりを果たして再現できるのかという懸念はあったが、しっかりはまっていた。また独自の設定(感想に後述)も良かったと思う。
アラジン(メナ・マスード)
アグラバー王国の国務大臣だが、王となって国を支配することを目論む。相棒のオウム・イアーゴを従えている。絶対的な力を得るために魔法のランプを渇望している。
配役の印象
アニメ版のいかにも悪といった風貌は鳴りを潜め、マーワン・ケンザリは見た目も声も優しすぎて悪者に見えない。唯一ミスキャストだと感じた。
『アラジン』のストーリー
アニメ版との比較・違い・感想
実写版独自の魅力/主なアニメ版との違い
恋愛の軌跡がより段階的で丁寧
アラジンとジャスミンの出会いの流れ。
アニメ版では、街で出会った次はアリ王子として会うシーンになる。
実写版だと、その間にアラジンが王宮に忍び込んでジャスミンに会うシーンが挟まれる。
またアニメ版だとアリ王子になった後の流れが違う。
- 凱旋パレード
- 王との謁見
- ア・ホール・ニュー・ワールド
一方、実写版だと王との謁見の後に城内パーティが挟まれ、じゅうたんでジャスミンの部屋に訪れるのはその後。
アニメ版はシンプルに洗練された感がある一方、実写版ではより丁寧に、段階的に描かれている。
アリ王子がアラジンだとバレない理由
アニメ版ではアラジンがアリ王子となった後、ジャスミンがアラジンの帽子を取った時に初めて街で会ったアラジンなんじゃないかと考える。
現実なら恋をするほどの相手であれば、帽子をかぶっていても間近で見たら気づくであろう。そこはアニメだから許されていた部分もあった。
しかし実写版だと理由が用意されている。ジーニーの魔法によって表面上は誰がアラジンを見てもアリ王子だと考える、というもの。
その後の「僕を信じて」発言や、ジャスミンの「あれアブーじゃない?」とアラジンにかまをかけて正体を暴く点は同じ。
魔法のじゅうたんがついてくる理由
アニメ版では明確な理由や説明はなく、洞窟に入ったアラジン達になんとなくついてくる印象だった。
しかし実写版では、石にはさまって身動きのできないじゅうたんを助けることで、じゅうたんはアラジンを慕い仲間に加わるという独自の設定。
ジャファーは元々貧民層
実写版、アラジンを洞窟へ誘導する時の会話で明らかになる。更にアラジンが気づかない程のスリとしての腕前を披露し、終盤のランプを奪うシーンの伏線になっている。
アニメ版ではこのような設定はなく、ランプを奪うのもオウムのイアーゴが単体でやってのける。
ジーニーへの依存度
アラジンのジーニーに対する依存度・信頼度が実写版だとより細かい描かれ方がされている。
ジーニーに頼るシーンと言えば、アニメ版だと主に願いを叶えるシーンだけなのに対し、実写版だと王との謁見、城内パーティーなど、願い事以外のシーンでもジーニーのサポートが多い。
しかしその効果は高い。何故ならアラジンがジーニーに頼りきりであればある程、ラストシーンの最後の願いで起こる感動の前フリとして機能するからだ。
あれだけ自分の都合ばかりでジーニーを利用していたアラジンが、最後の最後でジーニーの為に願い事をしたということ。
その効果は高く、良いアレンジだと思った。
ジーニーの人間化
これは実写版オリジナルの設定だ。
アニメ版は「自由になる」ことだけを求めていたのに対し、実写版での願いは「人間になって自由になる」という違いがある。
またアニメ版はラストシーンで自由になった後も、空をすっ飛んで旅に行ってしまうことから超人パワーを持ったままだと思われる。
しかし実写版では人間になるのでその力はもはや残っていない。
しかしそれが良い。素朴で切実で良い。
今思えばだが自由になってもなお超人だなんてなんだそれ?って気がしなくもない。
超人の力などいらない、人間になって好きな人と旅に出ようって・・・素敵やん。
ここが惜しい!残念な点
ジャファー
唯一にして最大の残念なポイント。
あとのふたつは気になった程度のものだ。
ジャファー役のマーワン・ケンザリ、顔も声もオーラも優しすぎる。
アニメ版のジャファーは、見た目といい声といい、いかにも極悪人といった体をなしていたが実写版はどうしてこうなった。
風貌に反して内に凶悪さを秘めたるようなサイコパス感があったわけでもない。
どうみても優しいおじさんにしか見えなかった。
悪役は如何に悪く見せるか、作品への影響が大きいのは明らかだ。
女性の社会進出論の強調
私自身が女性の社会進出に対してどうと言いたいわけではない。
ただストーリーにそこまで影響のない部分で、あえてアニメ版に反してその設定をこしらえ、あそこまで強調する意図はなんだったのだろう…と気になった次第だ。
ジャスミンが一国のリーダーになることを望み、やたらと女性も社会進出すべきというメッセージが繰り返されていたように思う。
吹替もアリかも
ウチダは字幕で見たが、どうしてもミュージカルシーンなどの常に映像を見ていたいシーンで字幕を見なければならないうっとおしさたるや・・・。
そう考えると吹替も十分アリだと思う。
当たり前だが映像を見ながら音声でセリフを把握できたほうが作品への理解度も増す。
【実写VSアニメ】世間の評判は?
大手映画口コミサイトの総合評価を表にしてみた。
filmarks | 映画.com | Yahoo!映画 | |
実写版 | 4.1 | 4.1 | 4.30 |
アニメ版 | 4.0 | 4.0 | 4.35 |
filmarks、映画.comはかろうじて実写版の評価が上回っているものの、Yahoo!映画ではアニメ版に軍配が上がっている。
口コミをチェックしてみると、アニメ版のファン、アニメ版は観ていない人、どちらも高評価をつけている印象だ。
終わりに
面白かったけどアニメ版はまだ未見、という方には是非そちらもおすすめしたい。
実写版は2時間超えだがアニメ版は90分で観られる。
実写版は綿密にストーリーを描いているが、アニメ版はよりシンプルかつストレートでわかり易く仕上がっているのが魅力。
アニメ版と共通して魅力なのは、万人に受け入れられるであろう作品だということ。
子供でも大人でも楽しめるし、恋人とでも家族とでも観られる。
わかり易くて笑えて泣ける、キャッチーな作品を生み出し続けるディズニーはやはり凄いなと改めて思った。
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