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『SHADOW/影武者』斬新で独創的!三国志知らずでもOK!

映画『SHADOW/影武者』のイラスト

2019年9月6日公開の中国映画『SHADOW 影武者』の感想記事。映画シーンを跋扈するCGやVFX満載のハリウッド映画の中で異彩を放つ独自の中華テイストを持った当作品は三国志を基に大胆なアレンジで話題に上がっているがその完成度や如何に!?尚、ネタバレはなし

『SHADOW/影武者』作品情報

製作国中国
ジャンル歴史、アクション
日本公開日2019年9月6日
監督チャン・イーモウ

キャスト

  • 【都督/影武者】ダン・チャオ
  • 【シャオアイ】スン・リー
  • 【ペイ国の王】チェン・カイ
  • 【ティエン・チャン】ワン・チエンユエン

『SHADOW/影武者』あらすじ

密かに身代わりを仕立て、それを“影”と呼んだ。

弱小の沛〈ペイ〉国は、領土の境州を奪った強大な炎国と休戦同盟を結んだが、それから20年、国民はいつまた攻めてこられるかと脅える日々を送っていた。沛国は若き王(チェン・カイ)を筆頭とする平和派と、重臣の都督〈トトク〉(ダン・チャオ)に従う開戦派に分かれていた。
ある時、都督は王の許しを得ず、炎国の楊蒼〈ヤン・ツァン〉将軍に境州での対決を申し込む。王は激怒するが、高貴で知略に富み、国民からも尊敬される都督を前にすると、責める言葉もなくなっていく。先王が早死にし、妹と二人の自分が王位に就けたのも都督のお陰だった。王は矛先を変えて、琴の名手と称えられる都督と妻の小艾〈シャオアイ〉(スン・リー)に合奏を命じるが、小艾は「境州が戻るまで琴は弾かないと天に誓った」と頑なに拒むのだった。
それもそのはず、王の前にいるのは都督の影武者だった。母と生き別れになり、飢えて行き倒れていた8歳の彼を都督の叔父が拾ってきて、影武者へと育て上げたのだ。1年前、都督が刀傷から病になったことを隠すために、いよいよ影武者の登場となったのだが、顔が瓜二つの彼に王さえ騙されていた。境州の奪還計画を進める都督は、影武者に「楊蒼を殺せば、自由の身だ」と約束する。
翌日、影武者は都督の筋書き通り、楊蒼に宣戦した己に厳罰を下すよう王に求める。王は彼を無官にすると、「今後、境州奪還を口にする者は斬首だ」と宣告する。それに対して影武者は、「私はもう一介の民。境州に行き、楊蒼と対決しても、殿とは無関係」と返す。都督の待つ館へ帰った影武者は、どんな相手も三太刀で必殺と言われる最強の楊蒼との対決に向けて、傘を武器にした技を磨くのだった。
王は和平のために、妹の青萍〈チンピン〉を楊蒼の息子に嫁がせようとする。だが、その返事は「姫を側室に迎えたい」だった。「それも一つの手立てだな」と答える王に、我慢も限界となった家臣の田戦〈ティエン・チャン〉(ワン・チエンユエン)が、「殺してやる! 楊父子の野郎め!」と叫び、王に「屈辱に甘んじるなら、殿の代で国は滅びます」と注進する。だが、王の心は変わらず、田戦は官職を解かれるのだった。
「私にも案が」と、特訓に行き詰った夫と影武者に申し出る小艾。女性の身体のように柔らかく傘を使ってみてはどうかというのだ。まさに柔をもって剛を制す、小艾のしなやかな動きが、都督の豪壮な攻撃をかわすことに成功、小艾はその技を影武者に叩きこむ。
約束の日が近付き、各々の思惑が交差していく。小艾は同情が愛へと変わっていった影武者の身を案じ、都督は忠実な家臣である田戦を呼び寄せ、“本当の作戦”を打ち明けて参戦を命じる。王は傷ついた青萍に「捨て石は誰だ?」と意味深な言葉をつぶやく。そして影武者は、都督の館での最後の夜に、小艾にある重大な告白をする。
遂に対決の時が来た。今、影武者は一人で、大軍の待つ敵地へと向かう──。

公式サイトより引用

『SHADOW/影武者』感想

 

「三国志」初心者でもOK

私は過去、三国志に関する映画、小説、その他ほとんど嗜んだことがない。そんな「三国志」初心者でも楽しめるようにつくられているのか否か?というのが一つの関門だった。
同じような理由で足踏みしてしまう人がいると思うので、そのような方に向けて言うとこの作品は全然大丈夫
予備知識なしで観たとしてもわかりやすいストーリーに斬新なアクションシーン、デザイン、演出などなど。派手なVFXを駆使したハリウッドが跋扈する映画シーンにおいて、すべてが新鮮に見えることでしょう。

アクション

多くの記事でも目にするように、「刃の傘」という他に類をみない新武器。ややリアリティを失ってしまっている要因にもなっていると言えなくもないが、それでも刀や槍ではなく「傘」っていう笑。その地味さを斬新さとアクロバティックな舞で補い、都督を唯一無二の戦士たらしめている。
映画サイトの特集記事などでも取り上げられていたが、傘で市街地をローリングしていく様は自身も切り刻まれてミンチになってしまうんではないかとヒヤヒヤしたものだ。一体どんな仕組みになっているのか!?つっこみたくはなるが面白いアイデアだ。

美しく儚きデザイン

水墨画のよう」と特集記事などでもよく言われている。確かに和テイスト(華テイスト?)のデザインが新鮮かつ美しい。白と黒を基調とした配色の中、霧の中に聳え立つ山々、降り止まぬ雨、古き中華の建造物。

そしてそんな絵にメインキャラ達がまたハマる。都督〈トトク〉(俳優:ダン・チャオ)の凛々しさ、小艾〈シャオアイ〉(女優:スン・リー)の美しさ、いずれも一国の命運を担うがゆえ、死の覚悟した儚さのようなものを感じた

更に追い打ちをかけるように奏でられる音楽。琴と笛の音をメインに据えた映画というのも中々珍しいのではないか

デザインであれ、ストーリーであれ、演技であれ、音楽であれ、とにかく美しいのだ。

だがしかし後半まで退屈

ストーリーの起伏でいうと、始まりから全体の6割くらいまではド平坦、その先で波がやってきてからは最後の最後まで息つく間もなかったという印象
特に後半、多くの映画は起承転結の転の部分を過ぎると後はまとめに入って穏やかに締めくくるものだがこの映画は違う。転の後に転があり、転でありながらも結に至るというような、要するに終盤の追い込みが凄い
なのでこれから観る人は中盤まではちょっと我慢して頂ければ、後は瞬きすら惜しくなるような怒涛の展開がやってくるでしょう。
鑑賞者に考察の余地を与える部分が多いのもまた興味深い。

まとめ

5点満点中3点:

とは言え、やはりド平坦部分はけっこう怠いのでこの点数。
その間にも多かれ少なかれ、鑑賞者の目を引くようなアイデアや起伏があれば最高の一作に仕上がったのは間違いない。惜しい。

このところ「アラジン」「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」「トイ・ストーリー4」「ライオンキング」などCGやVFXバリバリのハリウッド大作を立て続けに観てきたのも手伝い、とても新鮮でよい刺激を受けた。
最近ゴリゴリのCG映画ばかり見慣れてしまっているという方は、たまには独自のテイストを持つ中国映画というのもいかがだろうか?

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