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【ネタバレなし】『バースデーワンダーランド』感想|感情移入できない3つの理由

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バースデーワンダーランドのイラスト

2019年4月26日に公開された『バースデー・ワンダ―ランド』を鑑賞してきた。 キャラデザを担当されているイリヤさんの絵が私は大好きでこの映画も楽しみにしていたのだけど・・・鑑賞してみて率直に言えば、残念だった。その根拠や、見所、感想をご紹介。ネタバレはなし。

↓イリヤさんのツイート

『バースデーワンダーランド』基本情報

あらすじ

自分に自信がなく、何をするにも自分で決断できないアカネ。 母に叔母・チィの家まで(アカネ自身の)誕生日プレゼントを自分で取りに行くように言われ、渋々向かうもののチィは何のことだかわからない。 そこへ異世界からきた大錬金術師だと名乗るヒポクラテスと弟子のピポが現れる。アカネを救世主だと言い、自分達の世界にチィ共々、一緒に連れて行ってしまう。するとそこには幸せ色に満ちたワンダーランド、カラフルで幻想的で美しい世界が広がっていた。 しかしこの世界は危機に瀕していた。謎の悪人、ザン・グとドロポ。彼らはワンダーランドから水を奪うことで色を消そうとしているのだった。 彼らと戦い、夢の世界を駆け巡り、アカネのワンダーランドを救うための壮大な冒険が始まる!

主要スタッフ

監督:原 恵一

代表作に映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』『河童のクゥと夏休み』などヒット作品があり、演出家や絵コンテなども経験しながら叩き上げでのし上がった実力派監督。

原作:柏葉 幸子『地下室からのふしぎな旅』

1981年に出版された児童文学作品。宮崎駿監督の名作『千と千尋の神隠し』は、彼女の代表作『霧のむこうのふしぎな町』がベースになっているというのも有名なエピソード

キャラクターデザイン:イリヤ・クブシノブ

ロシア出身、新進気鋭の超人気イラストレーター。アニメ映画のキャラデザは初めてだそうだ。

主要キャスト

  • アカネ:松岡茉優
  • チィ:
  • あかねの母:麻生久美子
  • ヒポクラテス:市村正親
  • ピポ:東山奈央
  • ザン・グ:藤原啓治
  • ドロポ:矢島晶子

主題歌:milet「Wonderland」

こっから感想だよ!と伝える画像

作画の印象

イリヤさんの絵は外国人イラストレーターによくある劇画風とまではいかないながらも日本の一般的なアニメに比べるとリアル路線で、色っぽい女性の作品も多い。

絶妙に男心をくすぐるフェティシズムのような麻薬が彼の絵にはある。

原作が児童向けであるということを鑑みるにその相反する要素がマッチするのかどうかというのはポイントのひとつだ。

「演じている」感

あのイラストのタッチを保ったまま生きて動く絵になっているのかというと少々違和感を感じた。喜怒哀楽の感情表現はしているが「演じている」印象を受けたのは私だけだろうか。それはイリヤさんがアニメのキャラデザ初経験だからなのか、作画スタッフがイリヤさんの画風を使いこなせないからなのかはわからないが能面のような作り物感を少々感じた

年齢判別不可

どのアニメも大体同じ作品では同じような顔をしている。それはある程度はお約束なのだが、当作は年齢判別が全くつかない程だ。まさかアカネが小学生だとは観るまで思わなかったし、アカネの母も叔母であるチィも、アカネと年齢が全然変わらないように見える。従来であればシワをいれたりだとか顔全体と目鼻の位置関係を微妙に変えたりして年齢差をつけるが、それが全くないのでアニメとはいえ、さすがに不自然な印象を受けた。

クオリティ

 

背景美術が美しいと中々評判のようだ。フル3Dアニメが増えている昨今だが、当作は2Dが基本となっている。もちろん乗り物や動く背景シーンなど、要所要所で3Dが効果的に使われているのがポイントだ。

確かに夜空を見上げるシーンとか銀杏並木を車で駆け抜けるシーン等の背景、雑貨屋の小道具など細かい部分も繊細できめ細やかに描かれている。しかし目新しさがあるかというとそうでもない。もはや作画に関しては「君の名は。」で大衆の目が一気に肥えてしまったため、この分野で出し抜くのは困難な道だ。

感情移入ができない3つの理由

1:目的が曖昧

 

ストーリー創作において、キャラの目的とその動機付けは最も重要な要素と言っても過言ではない。何故なら目的があるからこそ主人公は行動し、困難な障害が立ちはだかっても乗り越えるからこそ感動が生まれ、魅力的なストーリーになるからだ。この作品の主人公・アカネには目的がないところからスタートする。ヒポクラテスに強制される形でワンダーランドを救おうとするわけだが、何故彼女が救わなければならないのか、何故救うことが彼女にとって必要なのか?終始曖昧である

2:危機感が伝わらない

 

例えばワンダーランドの危機が、悪逆非道で住人の苦しみも想像を絶するものであれば、アカネが救おうと決意する動機になり得るし、観客も感情移入できるというものだ。こんな酷い事する奴らが許せない、悔しい、何とかしてアカネ、頑張れアカネ!てな風に。 しかし色が失われること=水が無くなることの危険性がいまいち伝わってこない。住民が困り果てているような描写もない。悪役も悪役で水や食料を奪い、物を壊す程度でやることがいちいち小さいのだ。

3:ターゲットがちぐはぐ

 

原作が児童文学で、その世界観から子供向けに創られた映画だと考える人も多い。しかし原監督自体は「あらゆる世代に楽しんでもらえる作品をつくりたいと思ったのがきっかけ」と述べている。 世界観だけ観ると子供向けに感じるがキャラの絵柄は明らかに大人向け。ストーリーと絵柄がミスマッチしているポスターのアカネなど、どう見ても子供向け作品を連想できないし、どっちかというとアダルトな雰囲気がある。

トップイラストレーターのキャラデザで児童文学を映画化するというのは大変面白い試みだがマイナスに働いてしまった感は否めない。

まとめ

ということで少々辛口な批評になってしまったが、言うても原監督は過去に名作をいくつも残している実力派であることは確かだし、イリヤさんにしても映画のキャラデザは初ということもあったので今後の変化や動向が楽しみ。また別の作品でタッグが組まれ、この二人の織りなすコラボレーションがみてみたいのは言うまでもない。

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