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漫画【ホムンクルス】全15巻のあらすじ・ネタバレ考察と感想まとめ

ホムンクルスの名越のイラスト

鬼才漫画家・山本英夫先生の人気漫画「ホムンクルス」全巻の概要、あらすじネタバレ解説に加え、感想や考察について書いた。

2021年4月2日に映画も全国公開されている「ホムンクルス」。

  • 映画公開前にあらすじをチェックしたい
  • 読んだけど他の人の感想が知りたい

このように考えている方は是非チェックしてみてほしい。

ちなみに私は映画の方も劇場で鑑賞、レビュー記事も書いているのでこちらも参考にして頂けると幸いだ。

ホムンクルスのネタバレレビュー
映画「ホムンクルス」原作好きによるネタバレ感想|近年稀に見る駄作

映画「ホムンクルス」は山本英夫の同名漫画を原作にした話題作。 2021年4月2日に劇場で公開後にNetflix(ネットフ ...

ホムンクルスの基本情報

ジャンルサイコスリラー
作者山本英夫
出版元小学館・ビッグコミックスピリッツ
連載期間2003年~2011年
巻数全15巻(完結)

累計発行部数は400万部を超えており、2021年4月2日には綾野剛主演で実写映画の全国公開も決定している。

ホムンクルスのストーリー概要

34歳のホームレスである主人公・名越進は、トレパネーション手術(頭蓋骨に小さい穴を開ける手術)を受けることで第六感が芽生える。

左目だけで他人をみると、相手の心の闇が化け物のように映るのだ。

ホムンクルス第1巻の名越

出典:山本英夫「ホムンクルス」第1巻

だが前半と後半とでややストーリーの趣が異なる。

  • 前半:他人の深層心理と向き合うのがメイン
  • 後半:名越自身の深層心理と向き合うのがメイン

前半は、名越の左目を通じて様々なキャラクターの心の闇の化け物と対決 → 解決しつつ進んでいく。

だが後半は他人ではなく、名越自身の深層心理に迫る描写がメインになるのだ。

ちなみに映画に例えるなら、他人の心にダイブして精神の治療を施す「ザ・セル」と共通する部分があるように思う。

ホムンクルスのあらすじ・ネタバレ

全巻の大まかなあらすじをネタバレありで紹介していく。

【トレパネーション~覚醒】1巻~2巻

舞台は、きらびやかな高層ビルの向かいにある公園。ホームレスの中年男性がたむろする中、スーツ姿にニット帽姿の変わったホームレスがいた。

ホムンクルス第1巻の名越

出典:山本英夫「ホムンクルス」第1巻

彼が「ホムンクルス」の主人公・名越進(なこしすすむ)。かつて大手金融企業のやり手だった彼は、なぜか今はホームレスに片足を突っ込んでいる中途半端な存在に。

彼は公園にテントを張るわけでもなく、唯一の資産とも言える愛車で寝泊まりをしている。いわゆるカーホームレス。

ある日、そんな名越の前に医大生のボンボン・伊藤学が現れる。

ホムンクルス第1巻の伊藤学

出典:山本英夫「ホムンクルス」第1巻

大金と引き換えにトレパネーション手術をしないかと持ちかけるのだ。

トレパネーションとは

頭蓋骨に穴を空けて脳の血の巡りを良くし、第六感を芽生えさせるという実験で海外ではすでにたくさんの事例があると言う。

名越は一度は断るものの、愛車をレッカーされて金に困窮し、トレパネーションを引き受ける決意をする。

手術後、しばらく何も変化は見られかった。しかしある時、左目だけで人を見ると特定の人物だけ化け物に見えるという事実に気づく。

ホムンクルス第12巻・街行くホムンクルス達

出典:山本英夫「ホムンクルス」第12巻

そしてそれは人間のトラウマ、心の闇が具現化して見えるホムンクルスだとの見解に至るのだった。

【組長編】2巻

ホムンクルス第1巻の組長

出典:山本英夫「ホムンクルス」第1巻

ひょんなことから街でヤクザと揉め、組長に目をつけられる名越。そんなヤクザ組長のホムンクルスは、ガンダムのようなロボットを身にまとった少年の姿をしていた。

名越は組長の深層心理と向き合い、自分の幼い頃の記憶が共鳴する。そして組長のトラウマを取り払うことに成功するのだった。すると組長はロボットの殻から抜け出し、真っ裸な少年の姿へと回帰する。

しかしその後、名越自身の左腕がロボットになっていた。つまり何故か組長のホムンクルスが名越に移ってしまったことになる。

【女子高生編】3巻~6巻

ホムンクルス第3巻の女子高生

出典:山本英夫「ホムンクルス」第3巻

ホムンクルスの正体を突き止めようと、本格的に動き出す名越と伊藤。

ある日、ブルセラショップにて次なる化け物・女子高生(さゆり)と遭遇。

彼女のホムンクルスは砂でできた化け物で、感情に合わせて変幻自在に形を変えるのだった。

現実のさゆりは、外づらを極度に気にする母親のマニュアルによってがんじがらめに縛られた少女。

2人は彼女に接触を試みる。伊藤はナンパをして親密になろうと企てるのだった。

しかし、逆に伊藤自身がトラウマを突かれて撃退されてしまう。

次に名越が彼女と接触し長い対決・交渉を経て、2人はさゆりの自宅の前で性交渉をする。

最終的にさゆりは、母親にその性交渉の現場を見せることでトラウマの打開を測るのだった。

そしてそれは成功し、彼女は完全にマニュアルを脱却する。

一件落着かと思いきや、またしても名越はホムンクルスを受け継いでしまう。今度は左足が砂になっていたのだった。

【名越のエリート時代編】6巻~7巻

ホムンクルス第7巻の名越の過去の様子

出典:山本英夫「ホムンクルス」第7巻

名越は大手銀行のやり手だった。

当時、富を手にして女を抱きまくっていた彼が目にするのは偽りの愛情ばかり。そんな中で満たされぬ思いを抱き、生の実感を掴めずにいた。

ある日、名越はタクシーに乗った際、運転手と何気ない会話をしているとある事実に気づく。

運転手は以前、名越が潰した企業で働いていた。リストラに遭い、今はしがない生活を強いられているという顛末を目の当たりにする。

自分のせいで転落した人物と直接会ったことで、彼の心境に変化が訪れる。

それが後にホームレスとなるきっかけであった。

【伊藤学編】7巻~10巻

ホムンクルス第8巻の伊藤学

出典:山本英夫「ホムンクルス」第8巻

遂にメインキャラの1人である伊藤のホムンクルスと向き合うことになる。

彼のホムンクルスは水人間。全身が父親の形をした透明のケースでできており、中には水が満たされている。そして水中では時折グッピーが姿を見せた。

そんな伊藤のホムンクルスと対峙する内、名越は自分自身と話している感覚に陥る。

まるで名越は自分自身の精神世界に迷い込んでしまったような状態に。

やがて伊藤のホムンクルスの原因は、父親との思い出にあったことがわかる。伊藤の父親は、息子が大切にしていたグッピーを殺してしまい、ずっと自責の念を抱えていたのだ。

そして改めて息子に謝罪をし、伊藤のホムンクルスも解放されるのだった。

【名越とななみ編】11巻~15巻

ホムンクルス第11巻

出典:山本英夫「ホムンクルス」第11巻

唯一、内面をみて好いてくれた元カノ・ななこという人物がいたことを思い出す名越。

同時にエリート時代に出会ったななみという女性と再会したことで、再び名越は自分の深層心理と向き合うことになる。

2人は同一人物なのか?ホムンクルスの正体とは何か?名越の過去の全貌は?徐々に明らかになっていく。

終盤に名越はななみのことを元カノ・ななこだと確信(おそらく妄想)して見合い、わかり合い、ひとつになろうとする。

そして最終的にホムンクルスは今までのような化け物ではなく、自分自身に見えるようになってしまう。

ホムンクルス第15巻の名越

出典:山本英夫「ホムンクルス」第15巻

ラストシーン

単行本のみに掲載されているラストシーンでは、トレパネーションに取り憑かれ、狂気に満ちた名越が登場。

スキンヘッドにいくつものトレパネーション手術痕。そんな名越をようやく探し当てた伊藤学は「自分のせいでこんな姿にしてしまった」と自責の念に駆られる。

その後すぐに、名越を(おそらく殺人容疑で)追ってきた刑事と警官達が到着。名越はやはり彼らが自分自身の姿に映り、手を降って満面の笑みで迎えるところで完結。

ホムンクルスのストーリー考察

多くが曖昧で謎につつまれているが、主に気になった点を考察してみた。

どうして結末で刑事が追ってきたのか?

名越はななみにトレパネーション手術を施し、おそらく死なせてしまったと思われる。(最後のななみの様子から)

警察に追われていたのは、その殺人容疑のためだろう。

他にもトレパネーションを施した相手がいたのかどうかまではわからない。

ホムンクルスの正体とは?

序盤からずっと明言されていたように、ホムンクルスとは自分自身。相手は自分を写す鏡であり、名越自身のトラウマを映し出している。

その成れの果てが終盤の有様である。リンクする相手全てが名越自身になっているというもの。

ただそれは名越の幻覚が進んだ結果なのか、第六感が研ぎ澄まされた結果なのか、明確な理由はわからない。

記憶にないものが見えるのは何故?

伊藤、イタさん、ななみなど、いずれも本人しか持ち得ない記憶が具現化している。

どうしてそれが名越には見えたのだろうか?

ここも明確な説明はなされていない。

名越が忘れているだけ?はたまた名越の都合の良い妄想?

根も葉もない推測になるけど、以下が私の解釈である。

  • ホムンクルスは自分自身である
  • でも相手にしかない記憶も見えちゃう
  • つまりただの都合の良い設定である

「ただの都合の良い設定」であり、それ以上でもそれ以下でもないんじゃないかと考えている。

意味ありげで難しい設定を施しておき、曖昧なままで終わる。

すると読者は様々な憶測や解釈をしてくれ、さも裏設定があるのではないかと考える。

だがその実、詳細な説明は用意しておらず、煙に巻くストーリーの類ではないかと。

もちろん、並外れた画力・説得力があってこそ為せる技だが。

ななみとななこは同一人物?

別人という解釈で良さそうだ。これも明言はされていなかったが。

結局ななみ自身が元カノであることを認める場面はなかったし、名越の思い込みや狂気性が強調されていたから。

ホムンクルスの感想

微妙だった点

前半は丁寧に読者をひきつける展開が意識されていたように思う。基本的なストーリー構成にはブレがない。

結局「ホムンクルスは自分自身を投影しているだけに過ぎない」という点は序盤から何度となく伏線があった。

だからこそ、徐々にホムンクルスが化け物ではなく名越自身に見えてしまうというのも一応は頷ける。

しかし後半になるにつれて雑になった感は正直かなり感じた。

  1. どう表現すればベストなのか?
  2. 読者が一番ワクワクさせられる展開は?
  3. 設定やシナリオをどんな順序で組み立てる?

こういった点が終盤はあまり考慮されず、思ったままに書きなぐったようなガサツな印象をうけた。

特に伊藤学編の途中から顕著だ。名越が黒塗りになって自分自身と延々語り合うシーンなど、読者に寄り添っていない感が半端ではない。

どんどんこちらを置き去りにし、精神世界に突っ走っていくスタイルにはちょっとうんざりした。

面白いと感じた点

ズバリ、アイデアと画力。ここに尽きる。

「心が具現化して化け物に見える」という発想が秀逸である事。これには誰も異論はないだろう。

しかも、それを表現するには非常に高い画力が必要になる。

現実の世界を舞台にしつつ、変幻自在の化け物を不気味かつリアルに描く必要があるのだから。

しかし山本英夫先生はそれをやってのけた。むしろ絵がうますぎていとも簡単に描いているようにすら見える。

  • 砂でできた女子高生
  • 液体人間
  • 街を往来する数々の異形達

これらをリアルに表現するのは並大抵のことではない。

「HIKARI-MAN」で見られる光の血管などもそうだが、何かしら新しい表現を常に追い求め、それを実践されている山本先生。

今後も目が離せないと思った。

ホムンクルスを全巻読むには

普通に購入しようとすると1冊600円~するが、割安でレンタルできるサービスもある。

DMMのコミックレンタルだと1冊95円、全巻セットでも1,425円で2週間借りられる。

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U-NEXTの詳細については以下の記事に詳しくまとめてあるので参考にして頂きたい。

作者・山本英夫先生について

ホムンクルスの執筆にあたり、実際に西新宿でホームレス生活を体験したというエピソードがある。

趣味は格闘技で空手や柔術を嗜んでおり、観戦をするのも好きとのこと。

ホムンクルスではあまり出てこないが、凝った格闘描写が他作品では頻出する。

  1. 新のぞき屋」では柔術の達人であると同時に凄腕探偵の敵キャラが終盤に登場
  2. 殺し屋1」では主人公がテコンドーの達人
  3. HIKARI-MAN」でも柔術や総合格闘家との戦闘シーンが多い

オススメの山本英夫漫画

山本英夫先生の作品は全て読破したが、個人的なオススメは以下の順になる。

  1. 新のぞき屋
  2. 殺し屋1
  3. HIKARI-MAN

新のぞき屋」は、ある探偵事務所で個性派キャラ達の活躍を描く名作。従来のディープな山本ワールドを見せつつも、絶妙な塩梅でコメディ要素も満載。歴代の作品では1番読みやすいと思う。

殺し屋1」では一転して笑い要素がほとんどない。一見冴えない青年である主人公は実は凄腕の殺し屋。大きなヤクザ組織をじわじわと壊滅に追い込んでいく展開は非常にわくわくするはず。映画化もされているが酷い出来なので、漫画の方を強くオススメする。

HIKARI-MAN」は2021年1月現在では最新作である。電気を通じて光の世界を行き来できるようになった高校生が、様々な悪と対峙していく物語。ヒロインとの恋愛要素も交えつつ展開する、キャッチーさが魅力のヒーロー物語だ。

ホムンクルスまとめ

というわけで、山本英夫先生の作品の中でもかなりディープでエグい「ホムンクルス」の解説をしてきた。

その秀逸なアイデアと類まれな画力により、ハマること間違いなしだろう。

興味を持たれた方は読んでみてほしい。

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また映画のネタバレ感想記事も以下に書いている。

ホムンクルスのネタバレレビュー
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こちらも併せて読んで頂けると嬉しい。

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