格闘技に取り組むことで得られるものは「相手を制圧する力」だけではない。もっと重要かつ、見逃しがちなことがある。そしてそれはオフェンシブな技術と違い、継続すれば誰でも必ず身につけられる。格闘技歴12年以上
を経て得てきた気づきについて書きました。
筆者の簡単な格闘技歴
2019年時点で総合格闘技歴12年。
格闘技を始めようと思ったきっかけは十代の時によくガラの悪い人にいじめられたり絡まれたりボコられたりしたこと。
初めて5年程は週6回練習に明け暮れて試合にも頻繁に出場、アマチュアの全国大会等で優勝経験もあり。
よく言われるのは、もう何年も格闘技やってたら護身とか余裕だよね?いきなり暴漢に襲われても安心だよね?など。しかし実際に大の大人を制圧するだけの技と力を身につけることは簡単ではないし長く継続的な努力を要する。
痛みに慣れることの重要性
多くの人は護身の意義を「相手を制圧すること」と考えがちだがもうひとつ、重要でありながら見逃しがちな点が「痛みに慣れる」ということ。
例えば想像してみよう
もしあなたがこれまで喧嘩をしたことがない、殴られた経験もなければ取っ組み合った経験もないと仮定する。
そして暴漢に暴行されたとしよう。
すると実際のダメージ以上に貴方はショックを受ける。
初めて経験する痛みに恐怖を覚え、肉体が拒否反応を起こすのだ。
反撃は愚か逃げる気力も失って自分は悪くもないのにただ謝ることしかできなくなるかもしれない。
ビビってしまうのである。つまり
人は未知なる痛みに対して過度の恐怖を抱く
という事実があるのだ。
格闘技経験があったら?
では格闘技などを通じて痛みや苦しみを経験していたらどうだろう?
すると多少の痛みやダメージを被ってもパニックになりにくい。
もちろんほとんどのジムや道場では練習生の安全面には細心の配慮を払っている。
でも例えばボディにパンチもらって息が止まりそうな苦しさを経験したり、
ローキックで足を効かされて数日体重を乗せる度に激痛が走る経験をしたり、
ミットを3分3Rフルパワーで打ち続けてスタミナを使い果たす苦しみを経験すると、
その痛みや苦しさに対して慣れることができる。
そしてこの程度の衝撃なら大丈夫だな、ジムの先輩に比べたら大した力じゃないな、などある程度相手の力量を推し量ることができる。
相手を倒すことまではできないとしても、
「慣れ」という経験がトラブル遭遇時や緊急時などの心のあり方において大きな財産となる。
というわけで、もし護身を武道や格闘技に求めて伸び悩んでいる人がいるならば、大事なのは技や力を身につけることだけではない、ということを知って頂けたらより有意義な格闘技ライフを送って頂くことができるのではないだろうか。